熊日出版

色についてのいろいろなこと

こんにちは。暑かった夏も途中から長雨に変わり、いつのまにかもう9月。早いですね。

さて、現在私が取りかかっている自費出版は、本文の校正もほぼ終わり、表紙関係も良いデザインに決まり、少しホッとしています。

今回ちょっと悩ましかったのが、表紙カバーの色あいでした。

 

書籍の装丁関係はデザイン(表紙カバー、表紙、大扉、帯)と用紙の選定・色の選定をデザイナーが行うのが一般的です。

 

今回も、デザイナーが著者・作品の雰囲気に合わせて作った表紙案をメールデータで受け取り、デザインデータをこちらで出力して、表紙カバーに使う実際の色の色見本サンプルを一緒に著者のところへ持って行って確認してもらいました。

ところが、「デザインデータを出力したピンク色」と、実際に「印刷で使うインクの色見本のピンク色」とでは予想外に差があったので、著者には「仕上がりは色見本サンプルに近い感じの色になります」とお伝えしたところ、「出力紙のピンク色の方がいいのでそちらにしてください」とのご要望でした。

 

ちなみに色見本は、出版業務において、実際にその色のインクを特色インク(1色インク)として使う場合や、4色インクを混ぜ合わせて使う場合の標準(見本)サンプルとして使われます。

もともと塗料色や印刷色の標準サンプルとして使われていましたが、近年は多様で微妙な色彩が表現できるようになったことで色の選択肢が増えた反面、それを再現するハード面(PCモニター、印刷機、印刷方式)も多種多様化しているため、複合要因や環境差による「色の差」について共通した認識を持つために用いることも多いようです。

 

色見本は「DICカラーガイド」が主に用いられ、DICグラフィックス株式会社(旧名:大日本インキ化学工業)というインキメーカーが発行している色見本帳を指します。

「日本の伝統色」「中国の伝統色」「フランスの伝統色」などで分類されている色見本帳もあり、眺めているだけで楽しいです(˵Φ ω Φ˵)

 

今回のケースでは、出力紙の色の方をご希望ということで、色選びについてデザイナーに再検討してもらいました。

 

 

 

※出力紙のピンクに合わせるため、色見本から近いピンク色を選びました。

 

一言で「色」といっても、チラシやパンフレット、書籍などの印刷物の場合は、その色を再現する機器や、色をつくる装置や染料、紙などの諸要因によって左右されます。

 

【色に影響する要因】

①PCモニターなど電子機器のディスプレイ…機種差

②プリンタ機…機種差(グレード、メーカー)、方式差(インクジェット/レーザー/トナー方式、オフセット/オンデマンド方式)

③インク…メーカー差、方式差(4色印刷、特色(1色)印刷)

④用紙…紙種差、メーカー差、表面加工有無

⑤その他…見るときの照明差、個人差

 

一つの色を表すにも、これらの要因が組み合わさるので、どれが本来の色か、どれを基準にすればいいかを判断するのが難しくなってきます。

そこで、認識を合わせるために有効なのが「色見本」というわけです。

 

さらに、色の表現で気をつけておきたいことが「色の表現法」です。

カラーモードには「RGB」「CMYK」があり印刷物を扱う上でよく使われる言葉です。

 

RGBは、「光の三原色」といって、PCのディスプレイやテレビ、デジカメなどの映像表示に用いられる表現方法です。(R:レッド、G:グリーン、B:ブルー)

CMYKは、「色料の三原色」といって、印刷物を印刷する際に用いられる表現方法です。(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:キープレート≒ブラック)

 

なので、要因の①のPCモニターなどはRGBで表し、②の印刷機械ではCMYKで表しますから、PCモニターやWEB上で見える色合いと、実際にプリンターで出力される色にはわずかに違う、というわけです。

 

デザインにおいて印刷用のデータをつくる際は、カラーモードをRGB→CMYKに変換したほうがいいということと、色合いを確認する際は前述した要因を念頭に置いて確認することが、実際の印刷仕上がりとデザイン時のイメージとのギャップをより少なくするためのコツだと思います。

 

今回は、

・デザインに選定した色と、そのデザインデータをコピー用紙に出力した色に差があった

・著者はコピー用紙に出力した色の方を希望された

ということで、出力紙に近い色を色見本から探して色指定を変更して対応しました。

 

色はいろいろ。色の出し方もいろいろ。

興味がある方は、「RGB」「CMYK」「特色印刷」などのキーワードで検索してみてください♪

※記載内容が違っていたらすみません(^^;

(や)

 

 

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