細川侯五代逸話集
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4う文章を挿入したりと意訳を行ったことも注記しておく。また、解説では各話に深い関心を持った読者のために参考文献を記したが、その際、高い専門性を有しながらも、可能な限り一般に読みやすく、かつ入手しやすい書籍や論文を紹介した。第二章は解題編とした。資料「随聞録」の歴史的位置づけを行うために、まずは写本の所在状況ならびに諸本の異同や特徴を踏まえた上で成立年次や作者を考証し、さらに近世後期に編まれた細川家史「綿めんこうしゅうろく考輯録」との影響関係について検討した。ついで、「随聞録」全五十五話の内容構成を分析し、描写の特徴や話題の変遷、書物の受容者層を究明しながら、歴史的事実と物語(逸話)の関係性について論じた。第三章は、研究資料として利用できるような校訂版が必要と考え、既に複数の写本で校合してある熊本県立図書館上妻文庫本を底本として、そこに京都大学附属図書館谷村文庫本および公益財団法人永青文庫本を突き合わせてこれを作成した。加えて、一般読者の読解を助けるため、語彙の読みと語義を中心に註を付した。なお、第一章から第三章を通して、歴代当主名については、最も人じん口こうに膾かい炙しゃされている名を用いたことについてもここに付記しておく。

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