熊日釣り情報

しけの日にはわが家で読書

406号

エリーゼのために 忌野清志郎詩集

忌野清志郎 角川文庫 平成26年

 ロックバンドのRCサクセションを率いたバンドマンの詩集。64編を収める。著者はブルースマンとも自称し、同時代を生きる人たちに強烈な印象を残して2009年に亡くなった。

 ページをめくると、ライブの映像が現れ、特異な声が聞こえてきそうだ。〈さすがにあまりうまく行かない〉〈いい事ばかりは ありゃしない〉〈夢も希望も何もない〉と現実に向き合い、縛られない自由を歌った。等身大の生身の人間賛歌は、上も下も見ないフラットな視線が貫く。音楽だけでなく、言葉を操る詩人だったとあらためて認識させられる。釣り好きの人なら「釣りに行かないか」を口ずさむ人も多いだろう。〈とてもいい天気〉〈曇っているのは ぼくと君だけ/いっしょに釣りに行かないか 多摩川に〉

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