熊日釣り情報

しけの日にはわが家で読書

424号

文豪たちの釣旅

大岡 玲 フライの雑誌社新書 2012年

 「いつの日かこんな釣りを自分もやってみたい」と、釣り好きの文豪14人との戯れを文章にまとめた。著者は芥川賞作家。

 冒頭は十代半ばに夢想を紡いだ開高健の釣り。幸田露伴、井伏鱒二、坂口安吾と続き、本欄で取り上げた福田蘭堂、森下雨村らも登場する。釣り文学ファンには納得の顔ぶれだ。意外だったのは岡倉天心。思想家で美術史研究の大家は茨城県の五浦に住んだころ、天気がいいと毎日でも釣りに出かけたという。小舟からのマダイやスズキ狙いだ。でも本当は「主として夢を釣るため、また苦悩の思いから逃げ出すためのものでした」。

 大岡の釣り歴が最後に書かれている。初釣りは小学2年のとき。釣童だった。一時、釣り堀でコイを釣り、今はフライフィッシングにはまる。

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