熊日釣り情報

しけの日にはわが家で読書

415号

車輪の下

ヘルマン・ヘッセ 高橋健二/訳 新潮文庫 平成21年

 世界中で読み継がれているドイツ文学。聡明な主人公のハンスは受験勉強に励み、エリートが進む神学校に州2番の成績で合格した。「去年、試験のために魚釣りをとめられたとき、彼は身も世もあらずわんわん泣いた。魚釣り、それは学校に通った長いあいだ、いちばん楽しいことだった」。馬の毛のより方、ぬかで濁らす方法、餌の選び方などは友人に教わった。道具は店で買えるきれいなものはだめで、「自分で作りまとめた釣り道具でなければ、釣りはできない」

 将来が約束されたかに思えたが、心を病んだハンスは学校を去る。釣り好きの少年には、規則に縛られた寮生活は耐えられなかった。故郷に帰り、機械工となったハンス。だが、悲劇的な結末が待っていた。「車輪」とは何かを考えさせられる。

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