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しけの日にはわが家で読書

416号

頼山陽詩選

揖斐高/訳注 岩波文庫 2012年

 120首の漢詩を収める。「雲耶山耶呉耶越/水天髣髴青一髪/万里泊舟天草洋/烟横篷窓日漸没/瞥見大魚波間跳/太白当船明似月」。最も知られているのが「泊天草洋」と題する古詩だ。

 山陽は文政元年(1818)8月23日、長崎をたち、茂木を経て富岡にきたとされる。〈雲か山か、それとも中国の呉、越だろうか。海と空が接するところは1本の青い髪の毛のよう。万里の旅をへて天草灘に泊まった夕暮れ時、波間に跳ねる大きな魚がちらっと見えた。月のような金星が輝き、船を照らしていた〉。天草灘の情景をこれほど雄大なスケールで詠んだ漢詩や短歌はない。跳ねた大魚は何だったのだろう。

 苓北町の富岡西港近くにこの漢詩を刻んだ巨大な詩碑が天草灘に向いて建っている。

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