熊日釣り情報

しけの日にはわが家で読書

408号

魚味礼讃

関谷文吉 中公文庫 1993年

 著者は東京・浅草の老舗「紀文寿司」の4代目。日々、魚に触れ、魚を味わい、最高の味を提供してきた職人は「魚は香りだ」と強調する。タイにはタイの、ヒラメにはヒラメの香りがあり、「それを見きわめることが魚を見分ける最良の方法ですし、食味の認識を高めるもっとも大事なこと」。マグロは「燃え立つような血の香りが私の心をとらえて放さない」。

 さらに、魚はどのような方法でとれたかが重要だという。網でとれた魚は引き上げるまでに時間がかかり、擦れる。一方、釣った魚は苦しんでおらず、その場で生きじめにすると「旨味成分が大量に含まれていますし、硬直する速度も緩やか」でおいしい。サイズも、大きければいいというものではない。「おいしい大きさがある」とも。

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