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しけの日にはわが家で読書

412号

剣客商売 庖丁ごよみ

池波正太郎(料理=近藤文夫) 新潮文庫 平成15年

 人気の時代小説『剣客商売』シリーズの主人公、秋山小兵衛が舌鼓を打っていた四季折々の江戸の味を一流の料理人が再現した。写真を見るだけでも腹がぐうと鳴りそうだ。シリーズの各冊から、その料理を食べる場面の一節も引用されていて、小兵衛ファンにはたまらない1冊になっている。

 魚料理もたくさん登場する。夏はアユ、ウナギ、スズキ、マダコなど。スズキは「出世魚だが、何といっても旨いのは盛夏で、だから、洗いにして食べるにかぎるという人もいるし、『いや、塩焼きが、何といえない』『吸い物もいい』(略)鱸は、高級魚といってよい」

 『剣客商売④天魔』では、塩焼きのスズキを「小兵衛はうれしげにながめつつ、手酌でゆっくりとのみはじめた」

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