
しけの日にはわが家で読書
410号
釣りとの出合い、釣行の思い出を綴った随筆と小説4編を収める。随筆は釣りを語りながら、ユーモアと機知に富んでいて、釣り好きなら楽しく読める。「そうそう」と納得する。
何も釣れない日もある。「スランプといって自ら慰めてはいられなくなった。私は釣りのことを思うと心に狼狽を感じるようになっている。しかし釣りを止そうとは思わない」。戦争中、疎開していても釣りに行った。「このごろ釣りに自信がなくなったので、あれこれ迷ったり小細工してみたりする」が、その度に釣果は下落する。「釣りに行くたびに自分はへたくそになって行くのだと思い知らされている」
でも、町内の釣友がやさしい言葉をかける。「そんな時期もあるものだよ」
