熊日釣り情報

しけの日にはわが家で読書

413号

明治事物起原 七

石井研堂 ちくま学芸文庫 1997年

 諸物万般の始まりを記した全8巻のうちの1冊。「釣遊興趣」でたびたび引用している「研堂釣規」と同じ著者だ。

 〈遊楽部〉の章に「西洋釣りの始め」の見出しがあり、「東京クラブの会員たちで、イギリス風の釣をすることになった、一般人の西洋釣をした始めである」と、土方寧帝大教授の話を載せている。明治29年(1896)御料局(林野局)が紅鱒を養殖していて、栃木県日光の中禅寺湖や湯ノ湖に放流していた。また、県境を越えた群馬県の丸沼などにも放魚して鱒釣り大会をやったらしい。釣り方は「餌釣をしないで、蚊鉤でばかり釣った」。蚊鉤とは疑似餌のフライ。毛針だ。蚊は英語でモスキート。flyはハエだが、フライフィッシング(fly fishing)の邦訳は〝蚊鉤釣り〟?

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