熊日釣り情報

しけの日にはわが家で読書

400号

秘溪を釣る

写真・秋月岩魚/文・山本素石 新潮文庫 昭和61年

 人が容易に入れない山深い渓谷の四季と毛針(テンカラ)で釣ったヤマメやイワナ、アマゴのカラー写真が約半分のページを埋める。スリリングで感傷的な文章を添えるのが、渓流釣りの第一人者、素石。溪師とも呼ばれ、清流の岩を伝いながら幻の魚を追い求め、生命の賛歌を奏でる。秘溪とは著者の内なる場所なのだろう。

 渓流釣りにのめり込む人には2つのタイプがあるという。山里派と源流遡行派だ。いずれも魚体の横腹に残るパーマークという不思議な文様の魔力に魅せられている。最上流域で陸封されたサケ科だけにある幼魚体の印に呼び寄せられているのだ。最後には球磨川のサクラマスも出てくる。70㎝にもなるヤマメの〝親分〟で、市房ダム湖に泳ぐという。3月、ヤマメ釣りが解禁になる。

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