熊日出版

本・雑誌のご紹介

山頭火意外伝 【書評付き】

漂泊の俳人の行乞流転の人生!!  おぼろげな熊本時代を浮彫りに

体裁:四六判、並製本、312ページ

著者:井上智重
出版年月日:2017年7月28日
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN:978-4-87755-556-6 C0095
発行:熊本日日新聞社
制作・発売:熊日出版

 

★熊日新聞 書評は以下に掲載★

 

 

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説明

内容紹介

いまなお多くのファンを持つ漂泊の俳人、種田山頭火。日記や書簡、新聞記事などを基に、新説を織り交ぜながら、熊本時代を浮き彫りにする。熊本の近現代文学の青春群像も。

 

【書評】熊本との関わり明らかに  ※熊本日日新聞 2017年8月27日(日)付 読書面掲載

 

山頭火については、ただならぬ数の本が書かれていると思うが、井上さんはまた一冊を加えたというのではなく、重大な貢献をなさった。というのは、熊本と山頭火の関わりが、徹底して明らかにされたからだ。

山頭火が生まれ故郷を棄てて熊本へ移住したのは大正五年のことだが、それは俳誌『白川及新市街』を出していた青年たちを頼ったのだ。こんな雑誌が熊本で出ていたなんて、著者が書かなかったら、今日誰が知ろう。

日本近代文学が成長するについては、日本全国の地域で、今は忘却された様々な文学グループの営みがあった。『白川及新市街』もそのひとつで、今は誰一人知る者もない人びとの、熱い文学への想いの中に、山頭火もまた在ったのだ。

山頭火は下通りで絵葉書や文具を売る店を出した。実際やっていたのは夫人のサキノだが、戦後上林町で店を再開したというから、熊中生だった私も、ひょっとすればその店を見ているのかも知れない。

私がこの本を高く買うのは、熊本という地方都市に近代化の波がおし寄せる中で、憧れ模索し苦悶する無名の文学青年たちの姿が、とても生き生きと描かれ、山頭火という、孤高めいた俳人が、そういう状況の中に、しっかりと定位されている点だ。

そこには若き日の中村汀女も安永蕗子も顔を出すが、今は忘れ去られた無名の地方文士たちが、丁寧に掘り起こされているのが大事だ。一人の名のある文学者は、こういう無名の営みの中から生まれる。大切なのはこうした土壌なのである。

この本は山頭火伝としても、事実の確認・訂正、『全集』未収録作品の発見等々、十分な価値を持つ。山頭火とは意外に素直な人だという著者の見解も重要だと思う。文章は才気を抑え、淡々としてとてもいい。

ひとつこの調子で、熊本の近代文学史を書いてもらいたいと思うのは私だけではあるまい。

 評・渡辺京二(評論家)

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