熊日出版

  • こんにちは。(や)です。

     

    唐突ですが、「アサーション」という言葉を知っていますか? 朝トイレに行くことではありませんよ。

    相手を尊重しつつ自分の意見を伝えるコミュニケーションスキルの一つです。

    アサーションは1950年代のアメリカで発祥し、人種差別撤廃運動や、婦人解放運動の中で生まれ浸透していき、1980年代に日本に伝わったと言われています。

     

    かなり前になりますが、アサーション教育を受けたことがあります。

     

    相手に配慮しつつ自分の主張や意見もきちんと言うというのは、できていそうで意外とできていないものです(自分も含め)。

     

    アサーションを意識しながらコミュニケーションをとることで、言いにくいことも角を立てることもなく相手にきちんと理解・納得してもらえてスムーズに事が進むことも大いにあります。

    逆の場合だと、余計な摩擦が生じ、ごく簡単な話もややこしくなったりこじれたりすることもおおいにあるわけで。

     

    相手の気分を害することなく自分の主張や要求を伝えるっていうことは大事なんですね。

    ビジネスにおける基本的なスキルとして私も意識していこうと改めて思ったのでした。

     

    朝でも昼でも夜でも、人とコミュニケーションとるときはアサーション!

    キャッチフレーズにいかが?

  • こんにちは。(や)です。すっかりブログの更新が滞っていました。

    Twitterでは日々のつぶやきや、本の紹介、スタッフの日常などなどジャンルに制約を設けることなく常識の範囲内で自由に、思い立った部員が投稿しています。

    私の一人よがりにならないように、他の人にも「誰かつぶやいてね!」とプレッシャーを与えたりもしていますが(笑)。

     

    日々の編集の仕事に追われているので、「ブログなど書いている暇はない!」みたいな雰囲気だったり「そんなことより重要な仕事があるだろ」みたいな世知辛い空気を感じたりもするのですが、「これも読者に興味を持ってもらうため」と思えば、コツコツとやる意味もあるのではないのか?ないのではあるのか?ないともいいきれない・・(二重否定はややこしい)。

     

    この時期から年末・年度末にかけて編集関係は慌ただしさを増します。

     

    実際に、私も先日自費出版の書籍を納品したばかりですが、また別の編集に取りかかっています。

     

    慌ただしいし、バタバタするし、時には殺気立つこともあるけれど、編集という仕事を通してさまざまな著者のかたのいろんな作品に携わることで、一読者として共感することもあるし、知らなかった世界に触れることもできるし、その人となりを感じることもでき、辛いときもありますが、面白く思えることもあります。幅広いジャンルを取り扱っているので、作品も作風もさまざまです。

     

    今担当している著者のかたは、これまで書き溜めてこられたエッセーを本にまとめたいということで、原稿整理させていただきました。詳しい内容はここでは書きませんが、原稿に綴られていたのは、それまでの人生、けっして楽なことばかりではなく、辛く苦しい時期もあったり、自問自答することもあったりして、その生きていくことの大変さが伝わってくるものでした。ただ、それでも自分なりに前を向き、人と接し、ささやかな喜びを見つけて毎日を過ごされ、それを文章で書き記されておられます。

     

    一方でその人とは違う、別の自費出版を検討しているかたの、過去から書き溜められていた原稿も読ませていただいたのですが、そこにもまた挫折あり喜びあり苦労あり、笑いありで、自分の知らなかった世界のその人のドラマがその人の文体でしたためられていました。

    その人とちょっと話しただけでは分からない内面をちょっとだけ知りえた感じがしてそれまでの人生を勝手に想像してみたのでした。

     

    人はいろんな面を持っていて、一見そういう風に考えていること、そんな風に思っていること、など、気づかないことも意外と多いんじゃないかなと思います。明るい人も、いつも明るいわけじゃないし、大変じゃなさそうに見える人も、実は口に出さないだけで知らないところですごく大変な思いをしているかもしれない。

     

    著者の思いや考えや人生の出来事や物語などを、文章を通して知ることで、自分にも重ねてみたり、新たに気づかされることもあったり、日々自分になんらかのスパイスが加わっているような気がします。そして、そういう作品や著者に出合うということも、なんだか不思議な「縁」に思えてきたりして。

    大げさなことでもない、ちいさな日常のことなのですが、あれやこれや思う今日この頃なのでした。

    あれやこれや思う暇があったら仕事しなきゃ!(人に言われる前に自分で言っとく)

     

     

  • これからも

    2016年7月にホームページをリニューアルして、熊日出版のブログも開設し4年以上が経ちました。
    頻繁に更新しているわけではなく、仕事の傍ら思いついた時にスタッフが書き綴って細々とやっています。
    なので、あまり見ている人もいないんだろうなと思っていましたが、意外と見てくれている人もいるんだということが分かり、これからもますます頑張らなきゃな、と改めて思ったのでした。

    ここを見てくれる人はきっと熊日出版のことが好きなんだろうなと親しみを感じつつ。(や)

  • こんにちは。(や)です。
    私は本屋さんが好きでよく行きます。

     

    ※「書店」という表現が一般的ですが、なんだか事務的な響きがする「書店」という呼び方より、「本屋さん」という響きの方が親しみ感があって好きなので、ここでは「本屋」と呼ばせていただきます。

     

    ぶら~っと立ち寄るのが好きです。
    この本を買おうと決めて行ったりすることもあるし、何か面白そうな本がないかな~、と特にお目当ての本があるわけでもなくて行く場合もあります。

     

    単に本を買うだけであれば、今ではインターネットでも買えるし、実際に本を通販で買うこともあります。電子書籍もありますね。

     

    本屋という場所は、新刊も含めてそこにいろんな本が並んでいて、新品の本がいろんなコーナーに分類されて大きい本、小さい本、厚い本、薄い本、専門書、雑誌、いろんな作者の色とりどりのデザインの本がその「本屋」というフロア内の本棚というスペースにぎっしり並んでそれぞれの本が自分をアピールしているようにも思え、本の活気を感じるのです。

     

    ずいぶん前のことになりますが、いつものようにぶら~っと本屋に行って再びウォッチングしてきたので、そのベンチマーキングin本屋(ちょっとおおげさ)を少しご紹介。

     

    でも私がよくウロウロするのは、エッセイ系やカルチャー系のコーナーが多いので、ここで話題にする分野は限られていますが・・

    そういったコーナーを見ていて思ったのが、ハウツー本や自己啓発本が多いこと。

     

    中身をじっくり見るわけではなく、本のタイトルを見て、目次を見て、ぱらぱらと全体をめくって、何となくその本のイメージをつかむのですが。

     

    印象として、タイトルで多いのは「秘訣」「コツ」「目的」+数字で表しているもの。

     

     

    特に、よりよく生きるためにご教示している本が多いですね。
    例えば・・・

    「なぜか好かれる女性50のルール」
    「願いがかなう100の方法」
    「チャンスがやってくる15の習慣」
    「心豊かな子を育てる39のヒント」
    「あなたに奇跡が舞い降りる50の方法」
    「愛されなかった時どう生きるか44のヒント」
    「『かわいい女』になる59の質問」
    「キャリアセレブになる36の秘訣」
    「運のいい女になれる101の習慣」
    「大切なことに気づく24の物語」
    「モテの極意59(モテゴク)」
    「3分でわかる恋愛心理学」
    「5秒で好かれる心理術」
    「いい女の条件29」
    「男は3語であやつれる」
    「女は3語であやつれない」

    その他、インターネットでも調べてみました。
    「子どもを本好きにする10の秘訣」

    「成約率98%の秘訣」

    「会議でスマートに見せる100の方法」

    「45歳からの会社人生に不安を感じたら読む本」

    「結婚生活を長続きさせる10の秘訣」

    「99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ」

    「ズボラでもお金がみるみる貯まる37の方法」 etc

     

    ちょっと拾っただけでも結構ありますよね?

    たぶん真剣に探せばこういうタイトルの本はもっとたくさんあるでしょう。

    どれも手に取ってみたい興味をそそられる本です。

    具体的な目的と数字をタイトルに用いることでより効果的に読者にアピールしているといえますね。

    そして、そのタイトルに出てくる数字はだいたい50前後~100が多いような。
    このぐらいが一番適当なのでしょう。

    だって、もし、例えばですが、

     

     

    「100人の男にモテルための400の方法」 とか、

     

    「億万長者になる1万か条」 とか、

     

    「毎日昼寝しても3キロやせるための5キロ分の書籍」とか、

     

    「最後まで読んだ時に心が軽くなる3000のエピソード集」

     

     

     

    とかあったとしても誰も買わないでしょう。
    現実的でないものね。

    やはりこのようなハウツー本は、内容はもちろん「タイトル」が重要ポイントでしょうね。

    ちなみに小説だと「タイトル」というよりは、やはり好きな作家さんの作品や話題になっている小説、ということでチョイスする傾向があるように思えます。

    そんなこんなで、上に挙げた様々なハウツー本、どれも気になるタイトルですね。
    「男は3語であやつれる」という本なんか特に興味が・・誰をあやつろうとしているのか?(笑)

    いろいろとウォッチングして気になったことを調べるのは楽しいのでした~。(や)

     

  • 新年あけましておめでとうございます。(や)です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

     

     

    遠く離れた人や親しい人ともメールやSNSで気軽につながることができる昨今、年賀状を送るという風習は年々減ってきていますね。減っているけれども今はまだゼロではありません。年始の挨拶の形式は人それぞれ。いろんな形があっていいかと私は思います。

     

    さてそんな中、仕事始めの今日(1月4日)、群馬県のある方から封書が届きました。年賀ハガキではないし、差出人の名前を見ても、ここ数年内で出版でお世話になった著者の名前でもないし、すぐにはピンとこず・・。

     

     

    中を開けてみると、古い集合写真のコピーとA4用紙1枚分のお手紙が。1行目を読みだしてすぐに思い出しました。

     

    弊社で出版した『アカシアの花の下で-わが青春の撫順』を購入したいという男性(Sさん)からの電話を昨年(2020年)6月に受けていました。

     

     

     

    その本は、戦時中、看護婦になるという希望に燃えて満州へ旅立った少女の波乱万丈な戦争体験記を綴った自伝なのですが、その著者である女性と、昨年お電話をかけてこられたSさんのお母様が偶然にも同じ時期に撫順の同じ学校で医療を学んだらしく、Sさんは亡くなったお母様の生きてこられた軌跡を探りたいと調べていてこの本の存在に辿り着いたようでした。

     

     

    どうしてもその本を読みたいので購入したいです、というご希望でしたが、刷り部数も少なかったので既に売り切れて在庫はなく・・。

    電話口でお母様の話を熱く語られている思い、お母様と同窓生ではないかという奇遇、母親の生き様を知る手掛かりとしてその本を読みたいという強い気持ちがひしひしと伝わってきて、私も「これは是非読んでもらわねば」という気持ちにかられまして、編集担当だった(か)さんや(と)さんに「在庫以外に余っている本はないですか」と事情を話しました。(と)さんが唯一編集担当者用に保存していた本を「これを送ってよかよ」と提供してくれたのでゆうメールで送りました。

     

     

    3日後には「本が届きました。本当にうれしいです。ありがとうございます。母の姿を重ねながら読ませてもらいます」とSさんからお礼のお電話があり、とても喜ばれている様子だったので私もなんだかホッとしました。

    その時の対応は特別でしたが、やはり読みたい人に読んでもらう機会があるならば特別であってもその橋渡しはしたいもの。

     

     

    お手紙を読んでいて、そういえば昨年そういうやりとりをしたなと思い出しました。そのSさんから新年早々に届いたお手紙は、Sさんが熊本の実家に行った時に古いアルバムを見ていたら、満鉄撫順医院会の集合写真が見つかり、上記本の著者(歌岡ツユ子さん)の名前もありました、と。だから断片的でも母のことを理解ができたこの本を出版してくれてありがとう、と。

     

     

    著者の歌岡さんは他界されたそうですが、この本の発行人である娘さんに編集担当者を通じてこのお手紙と写真を渡してもらおうかと思います。

    私も読みましたが、とても壮絶な戦争体験記ではありますが、その中に芯の強さや優しさを感じ取りました。

    1冊の本が結んだご縁に意味を感じた初日でした。思いがけないめぐりあい。まさに奇遇ですね。
    こちらこそありがとうございました。(や)

     

     

    『アカシアの花の下で-わが青春の撫順』(※在庫なし)

    アカシアの花の下で-わが青春の撫順

  • 紙ってる話

    こんにちは。梅雨特有のジトジト、湿気モワモワで洗濯物が乾きにくくて困りますね。
    今回は紙の話です。(一部分ですが)

    食品、お酒、おもちゃ、靴、ティッシュboxなどの日用品パッケージに使われる紙で「白板紙」というものがあります。
    白板紙の中の「白ボール」というタイプの中で、塗工有りがコート白ボール(コートボール)です。
    コート品は印刷再現性が高いのに比べ、ノーコートボール(塗工無)は印刷しない、印刷の質を問わないものに使われます。

    3月末に発刊した書籍『教育に「忖度」はいらない』の表紙は、このノーコートボールの裏側(灰色側)に印刷しているんですよ。
    通常はコートボールの白い側に印刷するのですが、これはデザイナーさんのセンスでノーコートボールの裏面に緑のインクで印刷するという仕様です。なので、文字のところはそのまま薄いグレー文字になるというわけです。考えたものですね。

     

    表紙 ↑

    ↑ 裏面(灰色側)に印刷して表紙としているので、内側(糊で貼り付けられている側)は白色です。
    (分かりにくいですかね(^^; )

    ここらへんはデザイナーさんのセンスが光ります。場合によっては、紙や製本のコストが折り合わないということもあり仕様を変えることもありますが。

    ちなみにコートボール、ノーコートボールとも製紙会社によって用紙の商品名が異なり、この本の表紙に使ったのはコラボファインG(王子製紙)という紙です。

    「本」といえども切り口が違うとそれぞれに奥が深く、面白いです。
    みなさんも手元にある本の表紙カバーや表紙の裏までじっくり観察してみてはいかがでしょう?
    作品を飾る装丁のよさは、それを担当したデザイナーさんや紙を扱う業者さんの努力のたまものなんですよ。

    (や)

  • こんにちは。新型コロナウイルス肺炎の流行で、外出自粛、在宅勤務だったり、お家時間も増した今日この頃。休日も家にいることが多くなり、皆さんも室内でできることを工夫しながら過ごしているのではないでしょうか。

     

    手前みそですが、読書はおすすめです。知識や教養を深めることもできるし、心を癒してもくれます。現実逃避できるようなコミックもまた楽しいですね。電子書籍も今はいろいろあるようです。私は紙の本も好きです。

     

    今回は「本」の内容というよりも、外側(ハード面)について少し説明しようかなと思います。本がどのようにして作られているのかということ。

     

    編集・校正作業をほぼ終え、修正がなくなった時点(校了)から印刷準備を経て実際の印刷が始まります。まず、両面印刷された大きな紙を折りたたんで「折丁」を作ります。4ページ、8ページ、12ページ、16ページ、32ページ分の折丁が基本となります。

    一般的に表8p×裏8pの16ページ分(八つ折り)が多いようです。「両面印刷された大きな紙」というのは、その紙に印刷する複数のページを、ルールに沿って割り付けます。例えば、表と裏16ページ分の面付であれば、表8ページ分、裏8ページ分を次のように割り付けます。

     

    「天」は本のページでいうと上の方を示します。ちなみに下方向は「地」と呼びます。

     

    一見、ランダムに並べているようですが、これを八つ折りするとなぜそうなのかが分かります。

    よかったら、A4サイズのコピー用紙でもいいので、1枚をざっと8分割して上のような数字を裏表に書いてみましょう。
    (「天1」の裏に「天2」がくるような位置関係で)
    そしてそれを「天1」が表になるように、二つ折りしてさらに二つ折りしてもう1回二つ折りしてみてください。

    実際に折ってみると「ハハーン」「そういうことか~」って思いますから。折られた状態なので部分的につながっていますが、書いた番号は順番に並んでいませんか?それが1ページ、2ページ・・となるのです。ちょっとした図画工作気分になりませんか? まっさらなコピー用紙と鉛筆とはさみとホチキスがあれば試すことができますよ。

     

    印刷の工程では、この折丁を一つの単位として、異なるページの折丁を複数作っていきます。異なるページを印刷した一つ一つの折丁の背にあたる部分には背票が印刷されています。

     

    ※複数ページを大きな紙に割り付けた実際のものが下の写真。印刷時にはこのような形態になります。

     

    この一枚の大きな紙を折ると・・

     

    このような感じになります↑

     

    この折丁を複数作成し(ページが異なる折丁)、重ねるとこんな感じ↓
    背には背票が印刷されています。

     

    これは各折丁を重ねた際に、抜けている折丁があったり、折丁の順番が間違ったりしていた場合に一目で分かるので、ミス(落丁・乱丁)を防ぐことができます。工夫されているのですね。

     

    必要なページが印刷された複数の折丁を重ねて綴じ、表紙をつけて断裁すれば本ができるという、大まかな流れです。だから本のページ数は通常8や16の倍数が多いのです。

    綴じ方も、背側に接着剤をつけて綴じるやり方もあるし、糸や針金を使って綴じるやり方もあるようです。例えばパンフレットのようなページ数が少ないものになると、針金を使って背を綴じます。ノートなどは糸を使ったミシン綴じ。書籍や冊子やパンフレットなど、その性質に合わせて適した方法で綴じ、断裁します。断裁する工程はその本の体裁によっても違うようです。

    おおざっぱに言うと、たとえば、上製本(ハードカバー)は、中の本文を断裁した後に別で作った表紙(ボール紙に印刷用紙を張り付けて作ったもの)をくっつけますが、並製本(ソフトカバー)は、中の本文と外の表紙をくっつけたあとで表紙と本文を同時に断裁します。

     

    以前も書きましたが、紙の本は、作者だけでなく、編集する人、表紙や中身をデザインする人、印刷所内で制作や印刷・製本の製造に携わる人、日程や費用を調整する営業さん、取次店の人、書店員さん、などなど多くの人の努力によって作られています。

     

    「書籍 製本」「製本の種類」「書籍 印刷」などで検索してみるといろいろなサイトが出てきて面白いですよ。みなさんも家で過ごす時間に飽きてきたら、見よう見まねでいいので、ちょっとした折丁を作ってみてみませんか?

     

    新型コロナによる非日常的な生活を送っていますが、少しでも健康で安心な日常に戻るといいなと思います。(や)

  • 今担当している出版物の中の一つで、自費出版をされる方の編集・制作をやっています。

    以前高校で社会科を教えていたという元教師で、退職後の現在は相談員など別の活動に取り組んでおられます。

     

    その先生は、とてもおっとりとしていて穏やかな先生ですが、原稿を読むうちに、教育についての情熱というか、「本当の教育とは何か」を常に考えている、しっかりとした強い信念をお持ちの先生であるという印象を持ちました。

     

    生徒たちとしっかり向き合ってこられた教育者としての人生や教育観を垣間見たような気がします。

     

    子どもたちが社会に出て自分の力で生きていくために必要なことを「現代社会」「政治・経済」の科目を通して教えてこられた軌跡が読み取れます。

    教育者はどうあるべきか、昨今の「教育」・「教育の現場」はどういう問題を抱えているのか、理想と現実の間で苦悩しつつも、生徒には常に優しく温かく接してこられたのだろうなと思われます。そんな教師生活と日々の思いが、時にやわらかい文章、時に毅然とした鋭い文章となって綴られていて、教育関係者だけでなく若者や子を持つ親世代まで幅広く読んでもらいたい内容です。

     

    そして、書籍の装丁デザイナーでいつもよくしていただいているデザイナーさんが偶然にも、その先生が高校で教えていた時の教え子だったということが分かり、先生の本の表紙デザインを引き受けてくれることになりました。

    かつて教えていた生徒が社会人となり仕事を持ち、恩師の本づくりに協力してくれるということはなんと素敵なことなのでしょう✧ (˵Φ ω Φ˵)♪ と勝手にドラマ仕立てにしてしまった私です。

     

    その先生のお宅には可愛い猫ちゃんがおりまして、生後1年も経たないぐらいの子猫ちゃんです。保護猫を引き取ったとのことですが、とにかくべっぴんさん。お仕事で先生宅に伺うとはいえ、猫ちゃんに会うのも楽しみなんですよね。

    いろんなご縁を大切にしたい今日このごろです。

    気がつけば、今年も残りあとわずか。仕事納めです。

    今年も読者の皆さまには大変お世話になりました。また来年もよろしくお願いします。

    皆さまにとって新年がより良い一年となりますように。(や)

     

     

     

     

     

  • こんにちは。暑かった夏も途中から長雨に変わり、いつのまにかもう9月。早いですね。

    さて、現在私が取りかかっている自費出版は、本文の校正もほぼ終わり、表紙関係も良いデザインに決まり、少しホッとしています。

    今回ちょっと悩ましかったのが、表紙カバーの色あいでした。

     

    書籍の装丁関係はデザイン(表紙カバー、表紙、大扉、帯)と用紙の選定・色の選定をデザイナーが行うのが一般的です。

     

    今回も、デザイナーが著者・作品の雰囲気に合わせて作った表紙案をメールデータで受け取り、デザインデータをこちらで出力して、表紙カバーに使う実際の色の色見本サンプルを一緒に著者のところへ持って行って確認してもらいました。

    ところが、「デザインデータを出力したピンク色」と、実際に「印刷で使うインクの色見本のピンク色」とでは予想外に差があったので、著者には「仕上がりは色見本サンプルに近い感じの色になります」とお伝えしたところ、「出力紙のピンク色の方がいいのでそちらにしてください」とのご要望でした。

     

    ちなみに色見本は、出版業務において、実際にその色のインクを特色インク(1色インク)として使う場合や、4色インクを混ぜ合わせて使う場合の標準(見本)サンプルとして使われます。

    もともと塗料色や印刷色の標準サンプルとして使われていましたが、近年は多様で微妙な色彩が表現できるようになったことで色の選択肢が増えた反面、それを再現するハード面(PCモニター、印刷機、印刷方式)も多種多様化しているため、複合要因や環境差による「色の差」について共通した認識を持つために用いることも多いようです。

     

    色見本は「DICカラーガイド」が主に用いられ、DICグラフィックス株式会社(旧名:大日本インキ化学工業)というインキメーカーが発行している色見本帳を指します。

    「日本の伝統色」「中国の伝統色」「フランスの伝統色」などで分類されている色見本帳もあり、眺めているだけで楽しいです(˵Φ ω Φ˵)

     

    今回のケースでは、出力紙の色の方をご希望ということで、色選びについてデザイナーに再検討してもらいました。

     

     

     

    ※出力紙のピンクに合わせるため、色見本から近いピンク色を選びました。

     

    一言で「色」といっても、チラシやパンフレット、書籍などの印刷物の場合は、その色を再現する機器や、色をつくる装置や染料、紙などの諸要因によって左右されます。

     

    【色に影響する要因】

    ①PCモニターなど電子機器のディスプレイ…機種差

    ②プリンタ機…機種差(グレード、メーカー)、方式差(インクジェット/レーザー/トナー方式、オフセット/オンデマンド方式)

    ③インク…メーカー差、方式差(4色印刷、特色(1色)印刷)

    ④用紙…紙種差、メーカー差、表面加工有無

    ⑤その他…見るときの照明差、個人差

     

    一つの色を表すにも、これらの要因が組み合わさるので、どれが本来の色か、どれを基準にすればいいかを判断するのが難しくなってきます。

    そこで、認識を合わせるために有効なのが「色見本」というわけです。

     

    さらに、色の表現で気をつけておきたいことが「色の表現法」です。

    カラーモードには「RGB」「CMYK」があり印刷物を扱う上でよく使われる言葉です。

     

    RGBは、「光の三原色」といって、PCのディスプレイやテレビ、デジカメなどの映像表示に用いられる表現方法です。(R:レッド、G:グリーン、B:ブルー)

    CMYKは、「色料の三原色」といって、印刷物を印刷する際に用いられる表現方法です。(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:キープレート≒ブラック)

     

    なので、要因の①のPCモニターなどはRGBで表し、②の印刷機械ではCMYKで表しますから、PCモニターやWEB上で見える色合いと、実際にプリンターで出力される色にはわずかに違う、というわけです。

     

    デザインにおいて印刷用のデータをつくる際は、カラーモードをRGB→CMYKに変換したほうがいいということと、色合いを確認する際は前述した要因を念頭に置いて確認することが、実際の印刷仕上がりとデザイン時のイメージとのギャップをより少なくするためのコツだと思います。

     

    今回は、

    ・デザインに選定した色と、そのデザインデータをコピー用紙に出力した色に差があった

    ・著者はコピー用紙に出力した色の方を希望された

    ということで、出力紙に近い色を色見本から探して色指定を変更して対応しました。

     

    色はいろいろ。色の出し方もいろいろ。

    興味がある方は、「RGB」「CMYK」「特色印刷」などのキーワードで検索してみてください♪

    ※記載内容が違っていたらすみません(^^;

    (や)

     

     

  • 本を観察してみよう

    本を読む時に気にすることは何ですか?

    もちろん、内容ですよね。というか、内容以外は普段あまり気をとめないですよね。

    通常は気にとめる必要がない「本の外観」をよく見たことはありますか? さらに側面に時々見られるガタガタ現象を知っていますか?

     

    その昔、出版の仕事につく前ですが、何気に本を見ていたら側面の仕上がりに違いがありそうだということに気づきました。

    単に汚れてしまったとか古くてぼろぼろになった、ということではなくて、製本のレベルに違いがあるようだと。

     

    写真で見ると、一番上の本は側面が何となく綺麗ではない・・

    ページに段差がありそう。

     

    こちらの本↑は綺麗です。

     

     

    こちらの本↑はガタガタ。

     

     

    こちらの本↑もガタガタ。

     

     

    ガタガタの度合いをもっとアップで比べてみましょう。

     

     

     

    ガッタガタです!!  ↑

     

     

     

    この本はガタガタなし ↑

     

    さらに見てみますと・・ (p_-)ジーー

    ガタガタしている場所は本の上側の辺のみ。

    この違いは何かといいますと、先にも述べたように製本の違いなのですが、上面がガタガタしているのは「天アンカット」という手法で製本されたもの、ということです。

     

    さらに詳しく説明すると、本を閉じた際に見える背表紙以外の側面(上・横・下)を「小口(こぐち)」といい、背表紙と対面にある前小口のことを一般的に「小口」とよび、上の小口は「天」、下の小口は「地」といいます。

     

     

     

    文庫本などの並製本(ソフトカバー)は、中身を表紙で巻いて小口・天・地の3方面を断裁して本の形態をつくります。

    「天アンカット」は、まさに本の上の方の小口(天)側を断裁していない(アンカット)製本方法ということでそう呼ばれています。

    上側のみを断裁していないので、上はガタガタということだったのです。

     

    新潮文庫さんなどの一部の本がこの手法で製本されているようです。なぜこの手法を採用しているのかは出版社(または印刷製本会社)にもよりますが、栞(しおり)ひも=「スピン」付きの造本仕様をソフトカバーで採用する場合、製造工程の都合上スピンを取り付けた後に断裁するため、上側の断裁ができないということも理由の一つのようです。

     

    断裁していないためにそういう仕上がりになっているのですが、断裁する前がなぜこういう状態になっているかは、印刷→製本する際の「折り」にも関係していますが、これはまた別の機会にでも説明できたら、と思います。

     

     

     

     

     

     

    今では文庫本・新書でのスピンを廃止したところもあるようですが、出版社さんによってはスピン付きにこだわり今の形態を継続しているとか。

    スピンは栞の役目を果たしかつ落下することもないので、読書をする人のための「思いやり」仕様でもあるといえるでしょう。

     

     

    たかが本とはいえ、「本」というものは、中に収める作家さんの作品だけで作られるものではなく、作品を校正・編集したり、それを表現するための文字や印刷する用紙、表紙デザインやサイズや製本、などなど、本づくりに関係する多くの人やいろんな要素が関わり合って「一冊の本」が出来上がっているのです。

    本を読む人が気持ちよく読むためにいろいろな工夫がなされています。

    これは電子書籍にはない、昔ながらの紙の本だからこそ、あらゆるところに「気配り」を施せる強みでもあるといえます。

     

    本について、作品の内容以外にも観察してみると面白い発見があるかもしれませんね。

     

     

    (おまけ)

    「天アンカット」という言葉が出てきましたが、それに対して「アンカット」「アンカット本」という言葉もあります。これは「手製本の歴史」「袋とじ」「フランス装」にも関係しています。

    ここで述べると長くなるので、これについても各自で調べてみると「なるほど~」と思いますよ。

    (や)

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