熊日出版

手書き原稿 その後

前回、「旦那様の闘病記(在宅医療の看護記録)を本にまとめたい」という方について、手書きで相当な枚数の原稿を著者が書いてこられたという話を書きました。今回はその続きです。

 

著者の方が手書きで綴ってこられた原稿はルーズリーフにして137枚。

ルーズリーフ1枚あたり、1000~1100字ぐらい書かれているので、原稿用紙にして2枚強と考えると、400字詰め原稿用紙にして350枚以上の文量はあります。

そのほか、写真や手紙など資料も30点ほど。

ご主人の病名はALS(筋委縮性側索硬化症)でした。書籍化を決めて、6月に契約をした後に書き始めたとのことなので、時間をぬって当時の記憶をたどりながら、壮絶だった時の辛さや悲しさが時にこみ上げてくるのを抑えつつ、頑張って書かれたのだろうな…と思いを馳せました。

 

そのたくさんの手書きの原稿は全て入力され、ゲラの状態になって印刷所から上がってきました。

 

書籍の形に一歩近づいた状態のゲラを目にして、まず最初の感動を著者と共有しました。あれだけの手書き文字が活字になってノンブル(ページNo)が付されているのです。

感動はそこそこにして、急ぎ校正をしなければなりません。来年1月の一周忌に間に合わせたいとの著者の希望もあって、著者も私も急ぎつつも間違いやおかしいところがないようにチェックをできる限り入念に行いました。2校、3校と、チェックを重ねます。

 

次は表紙。デザイナーさんに著者の希望や書籍の概要・主旨を伝えてラフ案を作ってもらいました。

ラフ案は3パターン。

デザインは2タイプで、そのうちひとつは、題字を変えたものを2タイプ作ってもらいました。私が決めるわけではないですが、どの案も捨てがたいです。著者も「どれも捨てがたい!息子や孫たちとも相談します」と言って持ち帰られました。

 

迷われたようですが、若い医療関係者や看護学生にも読んでもらいたいという理由と、お孫さんたちの好みも取り入れて、白地の背景に野球ボールのデザインに決まりました。表紙カバーに合わせて、表紙や大扉のデザイン、見返しの色、紙のタイプなども決まりました。

 

最終校正も終わり、表紙デザイン修正も終わり、無事に校了。あとは印刷・製本を待つのみです。著者の「伝えたい、留めておきたい、残しておきたい」思いが詰まった本が出来上がるまでの間が待ち遠しいです。(や)

Page Top