熊日出版

愛おしさゆえの悲劇

熊日出版から8月に発刊した『素顔の動物園』。おかげさまで、たくさんの方にご購入いただきました。心から感謝しています。

この本の主人公は熊本市動植物園にすむ動物たち。熊本日日新聞社写真部の記者が同園に通いつめ、動物たちが何気ない日常の中でほんの一瞬見せるレアな素顔を写真におさめています。中には何時間も何日も粘り、1000枚以上撮影した中の究極の1カットというものも少なくありません。

ところで、この本の制作は編集担当の私自身がとにかく楽しませてもらいました。動物たちの写真のデータをパソコンの画面で拡大しては「かわいい♡ かわいい♡」を連発したり、写真とともに紹介されるエピソードにハートがキュンキュンしたり。案の定、動物たちにた~っぷり情が移ってしまい、最終校が手から離れた時にはもう寂しくて寂しくて、「動物園ロス」に陥りました。

それから数週間後、印刷が終わり完成した本を手に取った瞬間、愛おしさがこみ上げて来てたまらなくなりました。さっそく出来上がったばかりの『素顔の動物園』を自宅に持って帰り、読者の一人として読みました。

いつもはりりしいお顔しか見せないライオンの大あくびだなんて、ギャップを感じてハートがくすぐられるわ。チンパンジーのカナエちゃんは寂しがり屋の嫉妬しぃね。あれ? 誰かに似てる(笑) 女心は人間も動物も同じなのね。

そんな幸せな読書タイムにひたること数時間、ベッドのヘッドボードに『素顔の動物園』を飾り就寝となったのですが…。

 

翌朝のこと。

ん? なんか左腕にくっついとる。え~い、力づくでひっぱがしてしまえ!!

パカッ!! バリバリ!! なにこの音?

 

寝ぼけ眼で左腕を見てみると、『素顔の動物園』のPP加工されたツヤツヤの表紙が半分くっついて、半分は力づくでひっぱがしたせいでよれてお労しい姿に。なんてこと、トホホ。

昨晩、ヘッドボードにきちんと立てて寝たつもりなのに、なぜこんな悲劇が起きてしまったのか。おそらく寝ている間に何らかの衝撃で落ちて、その上に私の左腕が乗っかってしまったのでしょう。何かの衝撃…、自分の寝相の悪さが最大にして唯一の原因とは頭では分かっているのに、受け入れられない現実を目の当たりにした私は、ボサボサ髪のまましばらく呆然としていました。

ごめんね、フラミンゴちゃん。君はこんなにきれいな姿を見せてくれているのに、悪いのは私なの。

この悲劇を繰り返さないためにも、皆さん、読書後の本は寝る前には必ずサイドテーブルに置きましょう。

 

熊本市動植物園は熊本地震で被災し休園中のため、しばらくはこの『素顔の動物園』を読んで動物たちと気持ちをつなげていてほしいなと思います。そして再び開園したら、その時は思う存分愛おしさを全開させてくださいね。私もそうします。  (くっしー)

 

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