熊日出版

巨匠と心は同じ…です。

その絵画展は暖かい光に包まれていました。
一度、見終わり、人垣をかき分け、また最初から…。

京洛をはじめとする日本の四季折々の風景や
北欧、ドイツ、オーストリア紀行の作品も。
圧巻は鑑真和上をしのんで描かれた唐招提寺御影堂の障壁画です。
ふすまを何枚も使い描かれた
墨一色の中国の雄大な風景…。
時を忘れ、見とれてしまいました。

九州国立博物館で開催されていた東山魁夷展-。
最終日の朝思い立ち、お昼過ぎに着いたのですが、
案の定、車は長蛇の列。
駐車場に入るのに40分ほどかかりました。

絵の才能が全くない私にとって、
東山魁夷画伯(1908-1999)の作品は、
とても人間技とは思えないほど精緻で、
優しいタッチで描かれています。
しかも「早春の丘」「草青む」「夏に入る」「揚州薫風」「芒野」
「行く秋」「山谿秋色」「秋翳」「雪降る」など、
季語が入っているタイトルがずらり。
道理で私たちの心に染み入るわけですね。

画伯は「残照」という作品を描いたとき、
「風景開眼」(自然と一体の実感)したそうです。
「自然の生命感と装飾性の一体的表現」という言葉で表されていましたが、
それは私たちの俳句会が掲げる
「徹底写生」+「創意工夫」とまさしく同じ言葉。
俳句開眼とは程遠いわたしですが、
自然との向き合い方が画伯と同じことが分かり、
うれしくなって帰ってきました。    (と)

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※写真は絵はがき(左部分)と「揚州薫風」と名付けられた

唐招提寺御影堂障壁画(図録より)

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